インタビュアーは例のマンチェスターの件があったので緊張したそうですが。マイケルはいつもの調子でフレンドリーに語ってくれています。(以下:Mがマイケル、Iがインタビュアー)
I:ハーイ、マイケル。電話をしてもらってありがとう。調子はどう?
I:インタビューはドイツ語でする?それとも英語。
I:ウェブマガジンは英語なので、では英語でやりましょう。そうすると、私の翻訳作業も少なくて済むし。
I:新作「Dreams And Expressions」を今回リリースすることになったね。収録曲、参加ミュージシャン、レコ-ディングの過程なんかについて話してくれない?
つまり、自分はクリエイターだから、自分のことを説明できない。でも、通常のコマーシャルなアプローチで作られたものと比べると、そうしたものを聴くのはちょっと難しいのかなということは想像できる。しかし、そうしたものはより長く生き続けるだろう。個人的にはそれを毎日聴いているが、飽きたりしない。これは自分にとってはいい兆候だと思う。なぜなら、自分で制作した作品については、作った後は普通は距離を置かねばならないからね。なにせ4000回くらいも聴くわけだから。特にこの作品について言えば、まだ自分の頭の中にも届いていない。これはいいことだ。
曲のタイトルについても普通の名前は付けたくなかった。アルバムが完成した後で、20曲できたことが分かった。最初、「Dreams And Expressions」というアルバム名を考えていたんだけれど、作った曲数とDreams And Expressionsの文字数を数えたみたんだ。そうすると偶然どちらも20だった。それで、各曲のタイトルを、D-1, R-2, E-3、、、とすることに決めたんだ。その後で、もう1曲あって、そのミキシングをし忘れていたことが分かった。アルバムのミキシング担当していた奴がいて、そいつがその曲のミキシングを忘れてたんだ。実際は以前にMSRからこのアルバムをリリースしてたんだけど、その時は20曲のみの収録だった。その時までに1曲漏れてることに気付いてはいたんだが、もう遅かった。だから今回の再リリースに際して、その曲をボーナストラック(No.21)として収録することにしたんだ。レコーディング方法についてだけど、まずクリックトラック(タイミングを示す音のみが鳴っているトラック)にギターパートを全部録音し、その後でドラムとベースを入れてもらった。
I:公式な全世界リリースの前にMSRからこのアルバムをリリースしたのはどうして?数年前の「Thank You」の時もそうだったよね。
I:MSRからは、それ以外に「The Odd Trio」という新作も発表しているね。これは何?
I:あなたのホームページには、次のような様々なビデオも販売しているとあるね。「The Michael Schenker Story Live」(2巻セット、$ 35)、「The Making of The Unforgiven」、「Unforgiven World Tour 99」、「Unforgiven World Tour 2000」(各$25) ファンはそれらを全て買う余裕がないかもしれないね。1枚しか買えないとしたら、どれを選ぶべきかな?
それとこのアルバム/ビデオには、スコーピオンズの「Love Drive」のようなこれまでライブ録音されたことのなかった曲が収録されていて、物語(ストーリー)をつづったような感じになっている。その時は、将来別のビデオを制作するとは思ってなかったが、毎回何か違ったことが起きるんだ。(それでまた作ったんだ。)物事というのはそういうものさ。私はそれを記録に残したいと思い、もし人々がそれを欲しいと思えば、与えるまでだ。自分の音楽を何度も何度も発表することは問題ない。なぜなら、私はいつも違うミュージシャンと共演するか、あるいは何か違ったことがそこでは起きているからさ。観るべき価値がある何かが起こってないのに同じミュージシャンと共演したビデオを発表するつもりはないからね。「Unforgiven Live」を出した時も、全く別のシンガー達が参加していたからだ。
セットリスト全体を担当した新しいシンガーのKeith Slack。そして、「The Unforgiven」のオリジナルシンガーのKelly Keelingだ。これは西海岸をツアーしていた時のもので、ビデオでは二人の全く異なるシンガーが唄っているだけでなく、違う曲も収録されている。その後、えーと、何て言ったっけ?「Japan 2000」とかいうビデオを出したんだけど、その中には違うものを盛り込んだ。面白いことや、違うシンガー(訳者注:Keithなので必ずしも違わないが)、あと違うものって何だっけ?そう、違う曲がたくさん入っているね。というのも、アンコールの2曲以外はUFOの曲は演らなかったんだ。MSGの曲をよりたくさん演った。てなわけで基本的には、それぞれのリリースにはそれなりの理由があるんだ。単に別の街で演奏したという理由で、同じものを発表するつもりはないよ。そんなことはしない。でも、その質問について言えば、どれを買うべきかは実際アドバイスできないね。なぜなら、個人的な趣味によるところが大きいからね。それぞれに別の理由があるから。
I:コンサート後に、マーチャンダイズ売り場で買ったCDやビデオにしかサインしないのはどうして?MSGやUFOの古い作品にはなぜサインしてくれないの?
例えば500人にサインするために毎晩会場で座るということは、ちょっと頼みすぎというもんじゃないか。だから制限しなければならなかったんだ。次のコンサート会場への移動するためにはバランスのとれた選択のように思えるけど。
I:ツアーの編成方法を見直せるとは思わない?ファンは彼らのためにあなたが十分な時間を割けないと不満をもっている。彼らはあなたと話したがっているし、写真も撮りたがってる。あなたが彼らに会わずにバスの中へと消えてしまうと、彼らはがっかりするだろう。
サイン会が終わったら、移動しなきゃいけないんだ。バスの中に座っているわけじゃない。次の会場、次の街へと移動するんだ。だから、仮に1回しかコンサートがなければ、一晩中パーティやって、寝ないでみんなと話してもいいよ。でもそういうやりかたしてないからね。ツアー全体のひとつに過ぎないから、そういう風にはできない。私は全員が帰る夜中の3時まで座って待ってることはできない。分かるだろ。それは無理なことだよ。
I:自分のレコーディングスタジオのことに触れていたけれど、どういうプランなの?新しいMSGのアルバムをそこでレコーディングするつもり?
I:ソロでのインストのツアーは考えている?
I:MSGの新作にはどういったミュージシャンが参加するの?そして一番の関心事であるシンガーは誰になる?Kelly Keeling? Keith Slack? Leif Sundin?
I:MSGの一番最近のアルバムに参加したシンガーを使おうとは思わないの?
I:メロディ重視ロックファンの多くは、Robin McAuleyと共に活動していたマコーリー・シェンカー・グループ時代が一番良かったと言っている。彼とは今もコンタクトとっている?その当時のことをどう思う?
I:「Into The Arena」というタイトルの新しいマイケル・シェンカーベスト盤がオーストラリアのレーベルであるRaven Recordsから出ているが、これに関わっている?あるいはそれについて何か知っている?
I:どうしてこのアルバムについて触れたかというと、素晴らしいベスト盤だからだ。2枚組みのCDには、レアなUFOとMSGの楽曲が収録されている。
しかし、時間があれば、そうした事に理解があり、私がどういう状況にあるのかを静観でき、例えば、契約が満期になったとか、更新できるとかできないとかいったことの分かる人物を見つけたい。でも、それは私にとっての最優先事項ではない。彼らは彼らがすることをするわけだ。そうしたものを理解するために全エネルギーを集中するなんて、個人的にそんなことはできない。そんなことすると、自分がベストの能力を持っていること、つまり曲作りができなくなっちゃうからね。だから、自分はそっちのほうに集中している。何か正しくないことが起こったら、きっとそれについて尋ねることになるだろうけど。
I:UFOのことについて語ってもらっても平気?
I:あなたのホームページに、次のようなコメントがあった。「フィル・モグの声が出なくなったため、残りの英国公演は中止になりました。お詫びします。将来のツアーについては、グループの状況次第です。」と。一体何が起こったの?
I:先日のマンチェスター公演では何が起こったの?
ニューキャッスルでもそうだった。問題だらけだった。それは物事を自分ではコントロールできなくなった日だった。私はUFOの楽屋に文句を言いに行ったんだ。そこでQuireboysのSpikeを紹介されたわけ。一番かっか来てた時だったからね、彼は間違った時に間違った場所にいたわけだ。私は文句を言うためにそこにいたわけだったが、本来は私に紹介されたその男に対して優しくナイスに接してやらなければいけなかったんだ。私は彼を脇へ押しのけ、「スパイクだと?どこのとんまだ。("Who the fuck is Spike?)」って言ってしまったんだ。そして、自分の不満についてまさに話そうとしたときに、彼が私の目に向かって頭突きをしたんだ。私はそのことについて彼を責めるつもりはない。タイミングが悪かったのが問題だったわけだから。本当にかっかしていたし。ピートはピートで、時に不愉快だったしね。奴は私の近くに来すぎるんだ。それで演奏やる気が失せちゃったんだ。それでまともに弾けなくなってしまった。マンチェスターでは、私は物事に対して腹が立っていて、私が全くもって不愉快な態度をとって、なおかつ無責任な行動をとるとどうなるかを彼らに見せてしまったような感じだった。基本的にはそういう感じだった。あれは自分の生涯においても最低のコンサートだった。でも、基本的には人がおろかになったときにどうなるかを人々に示しただけだ。
I:私はいろいろなマイケル・シェンカーのファンサイトから情報を得た。彼らはあなたがステージ上でフィルを威嚇していたと語っていたが。
I:この機会にあなたも状況を整理できるかもしれないね。いろいろなウェブサイトでは、UFOが存続できるかどうかに関する噂が飛び交っている。UFOのみんなは仲良くやっているの?
つまり、この世に存在する全てのバンドは喧嘩もすれば口論もする。すべての結婚生活がそうであるようにね。でもそれが世界の終わりを意味するわけじゃないだろ。人はそうした馬鹿げたことに対処しなければならないし、それを上手い方向にもっていかなければならない。そういうものなんだ。だから、基本的には、フィルは声が出なくなって、ツアーを継続できなくなったということだ。人は皆すべてのことに対する答えを持っていると自分で思っているから、どんなことが起こっても噂を作り上げてしまう。私の妹もそんな風に考えていた。彼女は何が起こっているのか分かっていると自分では思っていたが、少しの手がかりももっていない(笑)。とにかく、バンドのみんなが元気であること。さっき言ったように、ピートの奥さんが亡くなったばかりだし、フィルの声もでなくなった。今は将来何ができうるか、次の段階はどのようになるかを静観しているところだ。英国の残りのツアーを消化できるかとか、マンチェスターで再公演をするかとか色々ね。
I:二日前が誕生日でしたね。おめでとう。UFOのメンバーの誰かが電話してきた?
I:現時点でフィルやピートとコンタクトとっている?
I:近い将来のプランはどうなっている?次のMSGの作品に集中することになる?
I:あなたは自分自身の音楽だけプロデュースするの?他のバンドについてはどう?
I:OK。質問がこれで終わりだ。マンチェスター公演のレビューをインターネットで読んで、とても心配になっていたので、あなたの口から直接ニュースを聞けてよかった。
I:その通りだね。インタビューに応じてくれてどうもありがとう。グッドラック。ツアーで会えるのを楽しみにしてるよ。